七夕の歌の歌詞と2番の意味は?五色の短冊の由来と作詞の真相を徹底解説
初夏の夜風が心地よくなる7月、街中や教育現場のあちこちから聞こえてくる「ささの葉 さらさら」の澄んだメロディ。日本の夏の風物詩として世代を超えて親しまれている童謡「たなばたさま」ですが、実は「2番の歌詞を正確に覚えていない」「五色の短冊がなぜその5色なのか理由を知らない」という大人が少なくありません。
幼い頃に口ずさんだ素朴なフレーズの奥には、東洋の深遠な思想や、激動の時代に子どもたちの純真な心を育もうとした先人たちの熱い想いが息づいています。本稿では、保育園やご家庭ですぐに歌える「ひらがな付き歌詞全文」をはじめ、大人こそ知っておきたい歌詞の意味、作詞・作曲にまつわる知られざる歴史的真相までを徹底取材・解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:童謡「たなばたさま」は1番・2番ともに情景が美しく、ひらがな表記で子どもと一緒にすぐ歌える構造になっている。
- 要点2:「五色の短冊(青・赤・黄・白・黒/紫)」は古代中国の「陰陽五行説」に由来し、色ごとに対応する徳目や願い事の明確なルールが存在する。
- 要点3:作詞を手掛けた権藤はなよ・林柳波、作曲の下総皖一による名タッグが、戦時下の日本で子どもたちへ遺した永遠の希望のメッセージである。
【歌詞全文・ひらがな付き】童謡「たなばたさま」1番・2番を完全掲載
幼少期から慣れ親しんでいる定番の七夕ソングですが、1番と2番を通して正確に歌える人は意外なほど限られています。まずは、保育園や幼稚園、ご家庭でお子さんと一緒に声を出して歌えるよう、漢字表記とひらがな表記をあわせて掲載します。
■ 1番(漢字・ひらがな)
笹の葉 さらさら(ささの は さらさら)
軒端に ゆれる(のきば に ゆれる)
お星さま きらきら(おほしさま きらきら)
金銀 砂子(きんぎん すなご)
■ 2番(漢字・ひらがな)
五色の 短冊(ごしきの たんざく)
私が 書いた(わたし が かいた)
お星さま きらきら(おほしさま きらきら)
空から 見てる(そら から みてる)
メロディラインは非常にシンプルでありながら、日本の美しい初夏の夕暮れから満天の星空への視線の移り変わりが完璧に描かれています。わずか数行の中に、自然への敬意と子どもの純粋な祈りが凝縮されているのが大きな特徴です。
【2番の歌詞詳細まとめ】「金銀砂子」や「空から見てる」に込められた情景と意味
1番と2番の短いフレーズの中には、現代では日常的に使われなくなった雅な言葉や、深い情景描写が隠されています。言葉の意味を正しく理解することで、歌の情景が鮮やかに立ち現れてきます。
まず1番に登場する「軒端(のきば)」とは、屋根の庇(ひさし)の端、あるいは軒先の建物の際を指します。昔の日本家屋では、願い事を吊るした大きな笹竹を庭先や軒端に立てかけ、風に揺れる笹の音を楽しんでいました。その笹の葉が風に擦れ合う微かな音を表現した擬音語が「さらさら」です。
そして多くの人が疑問に思う「金銀砂子(きんぎんすなご)」。これは、金箔や銀箔を細かく粉末状にして蒔絵や色紙の装飾に用いる伝統工芸の素材を指します。歌詞においては、漆黒の夜空に散りばめられた無数の天の川の星々が、まるで金や銀の砂を撒いたかのように輝いている壮大な情景を美しく比喩した表現です。
続く2番では、子ども自身が主役となります。「私が書いた」五色の短冊が夜風に揺れ、見上げれば「お星さま(織姫と彦星)」が天の上から優しく見守ってくれている――地上と天空が優しく結びつく、心温まる世界観が見事に結ばれています。
「五色の短冊」に隠された本当の意味|古代中国の陰陽五行説と願い事のルール
2番の歌い出しにある「五色(ごしき)の短冊」。七夕飾りで何気なく使われている折り紙の色ですが、なぜ「5色」と決まっており、それぞれ何色を指すのかをご存知でしょうか。
この五色とは、古代中国の自然哲学である「陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)」に基づいています。万物は「木・火・土・金・水」の5つの要素から成り立つという考え方で、それぞれに対応する色が定められています。
【短冊の五色と対応する意味・願い事の分類】
・青(緑)[木]:徳目「仁(思いやり・徳を積む)」。人間的な成長や対人関係の円満を願う短冊に最適です。
・赤[火]:徳目「礼(感謝・礼節)」。親や祖父母、先生への感謝、礼儀正しさを祈る願いに向いています。
・黄[土]:徳目「信(信頼・誠実)」。友人関係の継続や人間関係の信頼構築、約束の成就を願います。
・白[金]:徳目「義(正義・義務・ルール順守)」。悪習慣を断ち切る決意や、規律を守る願いに適しています。
・黒(紫)[水]:徳目「智(学問・知恵)」。七夕の原点である「機織りや芸事の上達(乞巧奠)」に通じる、学業成就や資格取得、芸事の向上を願う色です。(※黒は縁起を考慮して日本では高貴な「紫」に代用されるのが一般的です)
元来の七夕は、単に「欲しいものを手に入れる」ためのイベントではなく、自らの技能向上や徳の向上を星に誓う風習でした。色に合わせた願い事を書くことで、本来の文化的意図に沿った深い体験が楽しめます。
作詞者・作曲者の知られざるドラマ|権藤はなよと林柳波が紡いだ誕生の真相
名曲「たなばたさま」が誕生した背景には、日本の児童文学壇を代表する作詞家たちと、教育音楽の巨匠による緻密な共同作業がありました。
本作の作詞は権藤はなよ、補作を林柳波、作曲を下総皖一(しもおさ かんいち)が手掛けました。昭和16年(1941年)12月、当時の文部省が発行した尋常小学唱歌の後継教材『うたのほん 下』に初めて掲載された作品です。
童話作家・童謡詩人として活躍していた権藤はなよが紡いだ素朴で母性あふれる原詩に対し、童謡界の重鎮であった林柳波がリフレインの効いたリズミカルな児童詩へと磨き上げました。さらに、東京音楽学校教授を務めていた下総皖一が、日本の伝統的なヨナ抜き音階(日本人が本能的に心地よく感じる5音階)を取り入れた旋律を付与したことで、一度聴いたら忘れられない不朽の童謡が完成したのです。
太平洋戦争の開戦期という暗い影が差し始めていた時代背景の中、音楽教育者たちが「子どもたちに美しい夜空の星と夢を見つめ続けてほしい」と祈りを込めて世に送り出した歴史的事実が、この歌の透明感をいっそう際立たせています。
【保育現場・ご家庭向け】手遊び歌のアレンジと簡単楽譜のポイント
童謡「たなばたさま」は、保育所や幼稚園のリトミック・季節行事の導入として絶大な人気を誇ります。言葉を覚えたての幼児でも無理なく参加できる手遊び歌の導入手順と、演奏のポイントをまとめました。
【簡単手遊び歌の実践例】
1. 「ささの葉 さらさら」:両手を胸の前に掲げ、手のひらを外に向けて笹の葉が揺れるように左右にひらひらと動かします。
2. 「のきばに ゆれる」:両手を頭の上で山型(屋根の形)にして、体を左右に優しく揺らします。
3. 「おほしさま きらきら」:指先を細かく開閉させながら、星のまたたきをリズミカルに表現します。
4. 「きんぎん すなご」:両手を上から下へ、キラキラと粉をまくように降ろしていきます。
ピアノ伴奏やキーボードで演奏する場合、初心者は「ハ長調(ド・レ・ミ)」の白鍵のみで演奏できる楽譜を選ぶのがコツです。主旋律の音域が「ド〜ラ」の範囲内に収まっているため、鍵盤ハーモニカやグロッケン(鉄琴)でも簡単に美しい響きを再現できます。
【七夕の歌の歌詞】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:七夕の歌には3番以降の歌詞は存在しますか?
A1:文部省が告示した公式の「たなばたさま」は1番と2番までです。一部の地域や後世の創作で3番が歌われる事例も散見されますが、原典として公認されているのは2番までとなります。
Q2:短冊の色に「黒」がない場合、どの色を使えばいいですか?
A2:古来、高貴な色とされてきた「紫(むらさき)」を使用するのが日本の七夕行事における正式な慣習です。市販の短冊セットでも黒の代わりに紫色が同梱されているケースがほとんどです。
Q3:「たなばたさま」以外にも有名な七夕の童謡はありますか?
A3:全国的に最も歌われているのは本作ですが、このほかに『きらきら星』(武鹿悦子作詞など)や、東北地方の伝統的な七夕音頭など、地域ごとに伝承されている七夕の歌や手遊び歌が多数存在します。
まとめ:夜空を見上げながら次世代へ歌い継ぎたい日本の原風景
わずか数行の短い歌詞の中に、日本の風土の美しさと古人の知恵、そして子どもたちへの祈りが込められた童謡「たなばたさま」。普段何気なく歌っていた歌詞の語源や五色の意味を知ることで、毎年訪れる七夕という行事が格段に味わい深いものへと変化します。
夜空の向こうで輝く星々に想いを馳せ、短冊に自分の誓いを込める――。今年の7月7日は、ぜひご家族や大切な人と一緒に歌詞の意味を語り合いながら、澄んだメロディを口ずさんでみてはいかがでしょうか。 (出典: 七夕 の 歌 の 歌詞(Yahoo!ニュース))